3.草千里ジオサイト
放牧地と火山活動
阿蘇観光に訪れる人が必ずといって良いほど訪れる代表的な観光地、草千里ヶ浜。阿蘇五岳の一つ、烏帽子岳の北麓に広がる火口跡にある78万5000平方メートルの大草原と、雨水が溜まってできたといわれる池とが織りなす自然のコントラストが非常に美しい場所です。煙を上げる中岳を背景に、放牧された牛や馬が草を食んでいる牧歌的な風景に、多くの観光客がドライブ途中に立ち寄り、のんびりと散策しています。草原を一周できる引き馬乗りも、観光客に人気が高い理由のひとつです。
雄大な草千里ヶ浜の目の前には、阿蘇火山の歴史について知るうえで非常に興味深い資料を多く保有する、阿蘇火山博物館があります。阿蘇火山の形成過程を巨大ジオラマで体感したり、阿蘇だけでなく、日本や世界の火山についての貴重な展示資料がそろっています。なかでも、最新のカメラシステムによる中岳火口のリアルタイム中継は、ここでしか見ることができません。
草千里ヶ浜から少し上がったところにある草千里ヶ浜展望所からは、高野尾羽根火山および立野峡谷(火口瀬)など、カルデラ西部の地形を観察することができ、遠くは金峰火山や島原半島の雲仙普賢岳も望むことができる、きわめて貴重なジオサイトです。
草千里ヶ浜
約3万年前に形成された直径約1kmの火口の中に、約400mの火口が生じた二重の火口。現在2つの池が見られますが、西側の池が外側の火口底、東側の池が内側の火口です。
内側の火口は、デイサイト質の溶岩ドームが吹き飛ばされたものであり、その一部が「駒立山」として残っています。草千里ヶ浜火山の噴出物である軽石は、近傍では溶結火砕岩となっていますが、少し離れると厚い軽石層として認められます。