阿蘇のジオサイト紹介

31.大峯火山ジオサイト

広大な溶岩流と活断層を実感する

 約9万年前、阿蘇で巨大噴火(阿蘇-4)が起きました。この噴火は、九州の大部分を火砕流で覆ったほか、日本のほぼ全域を火山灰で覆いました。この噴火の直前にカルデラの西方に大峯火山が形成されました。この火山は、大峯火砕丘(409m)とそこから流出した広大な溶岩台地(高遊原台地)からなります。この溶岩台地の南縁には、布田川断層が走っており、台地が繰り返し発生した地震によって形成された鉛直方向のずれや傾動を見ることができます。現在、この台地は「阿蘇くまもと空港」として利用されています。

大峯火山

図1 大峯火山は、阿蘇カルデラの西側に噴出し、大量の溶岩を西に流出しています。この火山は阿蘇カルデラ西縁の立野から益城町を経て南西方向にのびる布田川断層の直上に位置しています。同じような火山、赤井火山が布田川断層と日奈久断層との交点付近に噴出しています。

図は渡辺ほか(1979)による

図2 阿蘇カルデラを西の上空から見ています。カルデラ壁は布田川断層で繰り返し発生した地震で破壊され、その谷を白川が流れています。カルデラの手前(西側)で大峯火山が噴火し、大量の溶岩が西に流出しています。カルデラの中には、多くの中央火口丘が見えています。

東から見た大峯火山と布田川断層

図3 東から見た大峯火山と布田川断層

大峯火山の噴火と布田川断層の模式図

図4 大峯火山の噴火と布田川断層の模式図

 大峯火山の噴火は、大峯火砕丘(409 m)と厚さ約100m、東西約9km、南北約4kmの広大な溶岩台地(高遊原台地)を作りました。布田川断層で数千年に一度繰り返される地震によって、台地の地面が鉛直方向におよそ100mずれ、台地が少し南に傾斜する変動を起こしています。現在、この台地は「阿蘇くまもと空港」として利用されています。

高遊原溶岩流の先端部

図5 高遊原溶岩流の先端部。厚さ約100mの溶岩の流出が止まった様子を見ることができます。平らな台地は空港、先端部はゴルフ場に利用されています。