温泉

 本地域には、非常に多くの温泉地がある。活火山地域における温泉水には、マグマ起源である熱水やガスが混入している場合が多い。しかし、湧き出ているお湯の中のマグマ物質の占める割合としては小さく、地表からしみ込んだ地下水が多いとされている。本地域の温泉に関係する火山としては、阿蘇火山はもちろんであるが、北東端のすぐ北は九重火山に接しており、双方の影響を受けている。

 地域内の主な温泉地としては、阿蘇市の「内牧温泉」、黒川温泉に代表される「南小国温泉郷」(図1)、小国町の「杖立温泉」および「わいた温泉」、南阿蘇村の「地獄・垂玉温泉」(図2)などがあるが、これらの他にも各市町村には多くの温泉が散在している。

すずめ地獄(南小国温泉郷)
すずめ地獄
(図1)
(南小国温泉郷)
地獄温泉(南阿蘇村)
地獄温泉
(図2)
(南小国温泉郷)

 「地獄・垂玉温泉」は阿蘇火山に、「黒川温泉」および「杖立温泉」は九重火山に、それぞれ関係しているとされている。前者は酸性の温泉で、後者には高濃度の炭酸泉を多く伴っている。「内牧温泉」は、地下に分布する花崗岩から湧出しており、カルデラ内にあるにもかかわらず、炭酸水素塩系の温泉である。

 温泉の豊富さは、本地域を特徴づけるもので、その多くが、観光地として活用され、観光客の癒しの場として親しまれている。最近では、本地域全体の温泉を「阿蘇温泉郷」と捉えて、阿蘇地域の貴重な特徴の一つとして活用することに取り組まれている。